高齢になると、食生活に影響を及ぼす身体の変化が生じ、食べることが少しずつに困難になってきますが、ちょっとの調理のコツを押さえることで、食事を楽しむことができます。
ヘルシーネットワークがご紹介するコラム、最終回の今回は「やわらか食調理の基礎知識」。食事をよりおいしくする雰囲気作りのポイントや、食材を食べやすくする工夫、さまざまな食材の具体的な調理方法を、イラスト付きでわかりやすくご説明します。

旬の食材の味・香りは季節感を演出し、食事にメリハリを与えます。
かつお節や昆布からとるだしは、天然の旨みが凝縮されていて、
とても美味しいです。
だしの風味は、減塩にもつながります。
市販だしの味に慣れすぎないためにも、
時には美味しい天然だしを使いましょう!
食品の持つ酸味・辛味・香味は料理のアクセントとなり、食欲を刺激し、 味にメリハリを出せるため減塩にもつながります。
酸味:柑橘類
辛味:大根、生姜
香味:しそ、みょうが、にんにく 等
懐かしい味や好物は、食べる意欲や楽しみへと繋がります。
- 食器の種類
- 見た目からも食欲が湧くように、食器の大きさや深さ、色合い、形態にも配慮しましょう。
- 盛付(食材の大きさ・形、彩り)
- 食事中に潰しながら食べられる料理は形を残したまま盛り付けることで、どんな料理かが分かり、見た目の美味しさがアップします!
- その他(明るさ、装飾等)
- 日中は自然光を取り入れて食卓を明るくします。華やかなランチョンマットの使用、季節の花(微香のもの)を飾る、等も気持ちが明るくなるポイントです。

- 隠し包丁・蛇腹切り
- たくあんやりんご等、硬いものの最後のひと噛み、ふた噛みを助けてくれます。
- 繊維を断つ
- 野菜等、繊維がどのように走っているのかを考え、その繊維を断つように切りましょう。
細くなっているよりも、ある程度の厚みや大きさ(表面積)がある方が噛みやすいですよ。
※但し、やわらかく調理してあることを前提としています。
「煮る」「蒸す」等の加熱調理で時間をかけてやわらかく仕上げましょう。
※揚げ物の場合、トロミのあるあんやソースをかける、または煮ることでやわらかくなります。

『食べやすいやわらか食』というテーマで、「 食生活の変化と一人ひとりに適した食品を選ぶコツ 」、「 食べやすくなる調理の工夫やポイント 」「やわらか食調理の基礎知識」をご紹介してきました。
食べる機能が低下したら誰もが悩んでしまいますが、しっかりと自分に適した食品を理解し、食べやすい・飲み込みやすい形態に調理するポイントを押さえれば、おいしく楽しい時間を過ごすことができる食事になります。
食べることは人生の喜びの一つであり、生きる喜びに繋がります。食べやすいやわらか食で、心も身体も満足する食事にしましょう。
参考文献:
「絵で見てわかるかみやすい飲み込みやすい食事のくふう」
(女子栄養大学出版)2010年
この連載の記事一覧
- 第1回:食生活の変化と一人ひとりに適した食品を選ぶコツ
- 第2回:食べやすくなる調理の工夫やポイント
- 第3回:やわらか食調理の基礎知識