【管理栄養士が解説】高齢者の夏の脱水対策|見逃しやすい症状と水分補給
公開日:
2026年8月3日
最終更新日:
2026年8月5日

なんとなく元気がない、食欲が落ちている——暑さにより高齢のご家族の変化が気になるかもしれません。
暑い日が続くと心配になるのが熱中症ですが、熱中症は突然起こるわけではなく、その前段階として脱水が進んでいることも少なくありません。とくに高齢の方は、のどの渇きを感じにくく、脱水がかなり進んでから気付くことも多いといわれています。ご本人が「大丈夫」と言っていても、体の中では水分が足りていない、ということもあるのです。
今回は、高齢の方が脱水に気付きにくい理由と、見逃したくないサイン、そして今日から取り入れやすい食事・水分補給の工夫を、おすすめレシピとあわせてご紹介します。
なぜ高齢の方は脱水(水分不足)に気付きにくいの?
環境省の資料によると、高齢になるとのどの渇きを感じるはたらきが低下し、水分が不足していても「飲みたい」という気持ちが起こりにくくなるとされています。
また、もともと体に含まれる水分の割合が若い頃より少なくなっていることに加え、汗をかいて体温を調節するはたらき(体の中の熱を外に逃がす力)も、加齢とともにゆるやかに低下していきます。
これらが重なることで、高齢の方は脱水に気付かないまま進んでしまいやすいとされています。「のどが渇いていないから大丈夫」と思い込まず、こまめな水分補給を意識してみましょう。
<見逃したくない、夏の脱水のサイン>
・口の中や唇が乾いている
・皮膚のハリがなく、乾燥している
・立ち上がったときにふらつく、立ちくらみがある
・尿の回数がいつもより少ない、色が濃い
・体重が急に減った
・いつもよりぼんやりしている、活気がない
※皮膚のハリは加齢そのものでも低下するため、あくまで参考程度のサインとして捉えてください。
こうした様子が見られるときは、脱水が進んでいる可能性があります。ぐったりしている、呼びかけへの反応がはっきりしないなど、症状が強いときは、様子を見ずに早めに医療機関へ相談しましょう。
今日からできる、水分補給の工夫
①のどが渇く前に、こまめに飲むタイミングを決めておく
のどの渇きを感じにくいからこそ、「渇いたら飲む」ではなく「時間や場面を決めて飲む」習慣にしてみましょう。起床時、食事の前後、入浴の前後、就寝前など、生活の節目のタイミングで水分をとると、忘れにくくおすすめです。また、一度にたくさん飲むよりも、コップ1杯程度をこまめに分けて飲むほうが体に負担をかけにくく、無理なく続けられます。
②水分は、飲み物だけでなく食事からも
水分は、飲み物だけでなく食事からも補うことができます。みそ汁やスープなど、水分を多く含む料理を食事に取り入れてみましょう。とくに夏が旬のトマトやきゅうり、すいかなどの夏野菜・果物は、みずみずしくて食べやすいのでおすすめです。
塩分バランスと食欲が落ちているときの工夫
③汗をかいたときは、塩分もあわせて補給
汗を多くかいたときは、水だけでなく塩分もあわせて補うことを意識してみましょう。みそ汁やスープは、水分と塩分を同時にとれるのでおすすめです。とくに大量に汗をかいたときは、梅干しなど塩分を含む食品を少量とるのもひとつの方法です。
食事量が減っているときや、大量に汗をかいたときは、経口補水液を活用するのもおすすめです。経口補水液はスポーツドリンクとは異なり、水分とミネラル(塩分など)の補給を目的に配慮してつくられており、脱水気味のときに適しています。ただし、塩分やカリウムの制限がある方は、飲む前に医師や管理栄養士にご相談ください。
④食欲がないときは、食べやすいものから
暑さで食欲が落ちているときは、無理に普段通りの食事を用意しなくても大丈夫です。冷たいそうめんやうどん、卵とじ、豆腐など、のどごしがよくさっぱりと食べられるメニューを選んでみましょう。卵やツナ、鶏ささみなどを添えると、たんぱく質も補いやすくなります。一度にたくさん食べられなくても、少量を回数に分けて食べることで、必要な栄養と水分を補うことができます。
管理栄養士が選ぶ、夏の脱水対策におすすめのレシピ3選
水分と塩分をあわせて補給できる汁物、水分が豊富でさっぱり食べられる一品、食欲がなくてもたんぱく質をしっかりとれる主食の3品をご紹介します。
おいしい健康アプリの活用法
レシピには食塩の量を表示
「食欲がない」「さっぱり食べたい」といったお悩みから、レシピの絞り込みができます。すべてのレシピは、食塩を含む30種類の栄養素を確認できます。
プロフィール登録で、パーソナライズ提案
性別や体重、病気やお悩みを登録しておくと、あなたに合った食事基準を自動で算定し、食事基準に合うレシピを優先して表示します。
食事記録で、栄養バランスを確認できます
食べたものを記録することで、たんぱく質やビタミン類がしっかりとれているかを振り返ることができます。食塩をとりすぎていないかも確認できます。
まとめ
高齢の方の脱水は、気付きにくいからこそ、日々のちょっとした工夫の積み重ねが大切です。「のどが渇く前に、こまめに飲む」「食事からも水分をとる」「汗をかいたら塩分もあわせて」——できることから、少しずつ取り入れてみてくださいね。「なんとなく元気がない」という小さな変化に気付くことが、脱水の早期発見につながります。ご家族で気にかけあいながら、無理のない範囲で、この夏の健康管理に役立ててください。
参考
・環境省「熱中症環境保健マニュアル2022」(各論5.高齢者の注意事項)
・環境省熱中症予防情報サイト「熱中症警戒アラート・熱中症特別警戒アラートについて」
・厚生労働省 リーフレット「熱中症を防ぎましょう」
※本記事は一般的な情報を目的としたものです。持病がある方や治療中の方の水分・塩分の摂り方については、医師や管理栄養士にご相談ください。




