【管理栄養士が解説】介護の食事で「栄養が偏る」ときは?少量でもエネルギーとたんぱく質がとれる工夫とレシピ5選
公開: 2026年9月28日
監修:
おいしい健康管理栄養士
おいしい健康が「介護の食事で困った場面」のコメントを募集したところ、寄せられた908件の声のうち、232件が「食べられるものだけだと、栄養が偏る」という悩みでした。 介護の食事の悩みの中で、2番目に多い声です。

やわらかいものや、好きな物しか食べてくれず、栄養面が不安。

食事を数口で残されると、栄養が足りているか心配になる
このようなお悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
年齢を重ねると、食べる量が少しずつ減ったり、かむ力や飲み込む力が弱くなったりします。 食べる量が減った状態が続くと、筋肉のもとになるたんぱく質やエネルギーが不足しやすくなり、体重や筋力の低下につながることがあるとされています。
とはいえ、難しく考えなくて大丈夫ですよ。 この記事では、おいしい健康の管理栄養士が、「少ない量でも、しっかり栄養がとれるようにする」ための工夫と、やわらかく食べやすいレシピを紹介します。
介護の食事で「栄養が偏る」のはなぜ?
寄せられた声からわかったこと
「栄養が偏る」という悩みについては、「食べる量が減った」「好きなものしか食べてくれない」など、ほかの悩みと一緒に寄せられる声が多くありました。
特に多かったのは、次のような悩みです。
・食べる量が減った・小食になった
・好き嫌いが増えた・食べてくれない
・やわらかさや食感を調整する必要がある
・調理の手間がかかる
つまり、「量が食べられない」「食べられる形が限られる」「好みが変わる」という条件が重なって、食べられる物の選択肢が狭くなり、その結果として栄養が偏りやすくなる、という流れが見えてきます。
高齢者に不足しやすい栄養素は?
食べる量が減ったとき、特に意識したいのがエネルギーとたんぱく質です。
Q. 高齢者は1日にどれくらいたんぱく質をとるとよい?
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、65歳以上のたんぱく質の推奨量は男性60g/日、女性50g/日とされています。
また、筋力や活動量の低下を防ぐ観点から、1日のエネルギーのうち15〜20%をたんぱく質からとることが目標とされています。
Q. なぜたんぱく質が大切なの?
たんぱく質は筋肉や血液、肌などのもとになる栄養素です。
食事からとるたんぱく質が不足すると筋肉量が減りやすくなり、転びやすさや体力の低下につながることがあるとされています。
Q. 体重はどれくらいを目安にすればいい?
65歳以上の人の目標とするBMIは21.5〜24.9とされています。
「以前より服がゆるくなった」「体重が減ってきた」と感じたら、食事量を見直すきっかけにしてみてください。
※腎臓病などでたんぱく質やカリウムの制限がある方は、ここでの目安が当てはまらない場合があります。必ず医師や管理栄養士にご相談ください。
少量でも栄養をとりやすくする4つのポイント
急に全部を変えなくていいんです。
できそうなことから、ひとつずつ試してみましょう。
ポイント1:品数を増やすより「1品に集める」
栄養バランスを考えて品数を増やすと、お皿の数に圧倒されて、かえって食べる量が減ってしまうことがあります。
寄せられた声の中にも、「品数を増やすと見た目の量で残される」という悩みがありました。
食が細い方には、主食・主菜・副菜を1品にまとめるのもひとつの方法です。
・雑炊やおかゆに、卵・鶏ひき肉・やわらかく煮た野菜を加える
・うどんに卵をとじて、ほうれん草を添える
・ポタージュに牛乳や豆乳を使う
1品で完結すると、作る手間も減らせますよ。
ポイント2:いつもの料理に「ちょい足し」で栄養をプラス
同じ量でも、食材を少し足すだけでエネルギーやたんぱく質を増やせます。
▼たんぱく質をプラスしたいとき
・卵:1個(50g)⇒ たんぱく質約6g
・絹ごし豆腐:1/3丁(100g)⇒ たんぱく質約5g
・牛乳:200ml ⇒ たんぱく質約7g
・スキムミルク:大さじ2(12g)⇒ たんぱく質約4g
・きな粉:大さじ1(6g)⇒ たんぱく質約2g
・蒸し野菜や魚の仕上げにオリーブ油やごま油を加える
・おかゆに蒸し鶏や溶き卵をプラス
・マヨネーズであえる
「みそ汁に豆乳を加える」「トーストにチーズをのせる」など、いつもの料理にひと手間加えるだけで大丈夫ですよ。
ポイント3:食べる回数を増やして「補食」で補う
1回に食べられる量が少ないときは、食べる回数を増やすのもひとつの方法です。
3回の食事だけでとりきれない分を、食事と食事の間の「補食(ほしょく)」で補うと、1日にとれるエネルギーや栄養の量を増やしやすくなります。
Q. 補食とは?
3回の食事だけでは足りない栄養を、間食として補う食事のことです。
「おやつ」というより、小さな食事のイメージで取り入れてみてください。
▼補食におすすめの例
・小さめのおにぎり(ツナやしらす、鮭フレークを混ぜるとたんぱく質もプラス)
・ロールパンやサンドイッチ(卵やチーズをはさむ)
・チーズ、ヨーグルト、牛乳
・カステラや蒸しパン、どら焼きなど、少量でエネルギーがとれるおやつ
例えば、朝・昼・夕の3回に加えて、午前と午後に1回ずつ補食をとると、1回の量は少なくても、1日の合計は増やしやすくなります。
すぐ食べられるように、小分けにして冷蔵庫や手の届く場所に置いておくのもおすすめですよ。
※糖尿病などで食事の回数やエネルギー量に指示がある方は、医師や管理栄養士に相談してから取り入れてください。
ポイント4:「甘い物」は、組み合わせでいかす
食欲がないときに、ゼリーやプリン、アイスなどの甘い物なら食べられる、という方は少なくありません。
甘い物は口当たりがよく、エネルギー補給として役立つ場面もあります。
甘い物をやめる必要はありません。
たんぱく質を含む食材と組み合わせることを意識してみてください。
・ヨーグルトにきな粉やバナナを加える
・牛乳や卵を使ったプリン・カスタードにする
・豆乳を使ったくず湯やムースにする
「これなら食べられる」という物を入り口に、少しずつ栄養を足していきましょう。
高エネルギー・高たんぱく質のゼリーや飲料は、少量で栄養をとりやすい食品です。
ただし、味や食感が合わず続かないこともあります。
冷やす、凍らせる、料理やデザートに混ぜるなど食べ方を変えてみたり、いくつかの商品を試してみるのもおすすめです。
選び方に迷ったら、かかりつけの医師や管理栄養士に相談してみてください。
少量でも栄養がとれる!やわらかく食べやすいレシピ5選
おいしい健康のレシピの中から、少量でもたんぱく質をとりやすく、やわらかく仕上がるレシピを管理栄養士が選びました。
家族の食事から取り分けやすいメニューもありますよ。
※栄養価は各レシピページの1人分の値です。文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに算出しています。
※かむ力や飲み込む力には個人差があります。やわらかさやとろみの程度は、食べる方に合わせて調整してください。飲み込みに不安がある場合は、医師や言語聴覚士、管理栄養士にご相談ください。
おいしい健康アプリには少量でも栄養がとれるやわらかい食事のレシピがいろいろ
プロフィールに病気やお悩みを登録すると、それに合ったレシピが優先して表示されます。
例えば、「やわらかい」「味覚が変わった」「味が感じにくい」などのお悩みを登録できます。高血圧などで食塩を控えたい場合は、「塩分が気になる」もあわせて登録してみてください。
栄養価の順に並べ替えができる
レシピは栄養価の順に並べ替えができます。
たんぱく質やエネルギーが多い順に並べれば、少量でもしっかり栄養がとれるレシピを探す目安になりますよ。
食事記録で、エネルギーやたんぱく質をチェック
食べた物を記録すると、エネルギーやたんぱく質、食塩などの量を確認できます。
「今日はどれくらい食べられたかな」がわかると、家族の安心にもつながりますよね。
まとめ:「食べられた」を積み重ねていきましょう
介護の食事で栄養が偏りやすいのは、食べる量・形・好みの条件が重なるためです。
決して、作る方の工夫が足りないからではありません。
・品数を増やすより、1品に栄養を集める
・卵・豆腐・牛乳などを「ちょい足し」する
・食べる回数を増やし、おにぎりやおやつの「補食」で補う
・甘い物は、たんぱく質を含む食材と組み合わせる
完璧な1食を目指さなくて大丈夫です。
1日や1週間の中で、少しずつ「食べられた」を積み重ねていきましょう。
体重が減ってきた、食べる量が極端に少ない日が続く、というときは、ひとりで抱え込まずに、医師や管理栄養士、ケアマネジャーに相談してみてくださいね。
参考・出典
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
- 株式会社おいしい健康「介護の食事の悩み908件をSNSから分析」(2026年9月29日)
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