「乳がんの抗がん剤治療中、下痢が続いたら何を食べる?」管理栄養士に聞きました
公開: 2026年10月7日
監修:
おいしい健康管理栄養士

10月は、乳がんについて考える「ピンクリボン月間」です。おいしい健康の個別栄養相談には、日々さまざまな食事のお悩みが寄せられますが、今回は乳がん治療中の方から多くいただく質問に、おいしい健康の管理栄養士がお答えします。

抗がん剤治療中で、副作用の下痢が続いています。治療のはじめの頃より体重が減り、体力が落ちてきました。どんな食事を意識すればよいですか?
A.まずは脱水を防ぐために水分をこまめにとり、食べられる物を少しずつとりましょう。同時に、下痢が続いて体重が減っていることを、主治医や看護師に伝えることも大切です。
抗がん剤などの薬物療法では、治療薬によって下痢が起こることがあります。下痢が続くと、食べるのも飲むのも不安になりますよね。体力が落ちてきたと感じると、なおさら心配だと思います。
下痢が落ち着いてきたら、食べられる範囲で、エネルギーとたんぱく質を少しずつ補っていきます。下痢の原因や程度によって、対応が変わりますので、食事の工夫だけで様子を見続けず、治療を受けている医療機関に相談してみましょう。
下痢と体重減少があるときの4つのステップ
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1.下痢が続いているとき:水分と電解質を補い、主治医や看護師に伝える
2.食べるのがつらいとき:消化のよい物を、少量ずつ、回数を分けて食べる
3.下痢が落ち着いてきたとき:エネルギーとたんぱく質を、少しずつ戻していく
4.体重の減少が続くとき:管理栄養士や医療機関に相談する
Q.下痢が続いているとき、食事はどう整えればいいですか?
A.水分と電解質を補いながら、消化のよい食品を、食べやすい温度で少しずつ食べてみましょう。
下痢が続くと、水分といっしょに、ナトリウムやカリウムなどのミネラル(電解質)も体から出ていきます。水分だけでなく、電解質を含む飲み物も取り入れましょう。水や麦茶に加えて、スポーツドリンク、スープ、みそ汁なども選択肢になります。
脱水が心配なときは、経口補水液も選択肢のひとつです。どれを選ぶとよいか迷うときは、主治医や看護師に相談しましょう。
食事は「何を控えるか」だけでなく、「何ならとりやすいか」で考えると、食べられる物を見つけやすくなりますよ。
下痢のときの食事のポイント
- 飲み物:水、麦茶、スポーツドリンク、スープ、みそ汁など。脱水が心配なときは経口補水液も
- 温度:冷たい物は避け、常温~温かい物など、食べやすい温度で
- 食べ物:お粥など、消化のよい物から。やわらかく煮たうどん(薄味)、豆腐、卵、白身魚も食べやすい食材です
- 量:1回量を少なめにして、回数を分けましょう
- 症状に合わせて控えめにしたい物:脂の多い料理、アルコール、刺激の強い物、カフェインを含む飲み物
- 乳製品:下痢が強いときは控えめに。とくに牛乳などで症状が悪化する場合は避けましょう
- 食物繊維:生野菜や繊維のかたい野菜など、消化しにくい食物繊維の多い食品は、症状に合わせて控えめに
これらは、すべてを全員が避ける必要があるという意味ではありません。症状に合わせて調整してみてくださいね。
ただし、医師から「食事を一時的に止める」「食事内容を変える」などの指示がある場合は、そちらを優先してください。下痢止めなどの薬は、原因によって使い方が変わります。自己判断せず、必ず主治医や薬剤師に相談しましょう。
Q.体重が減って体力が落ちています。栄養はどう補えばいいですか?
A.食べられる物を、食べられるときに、少しずつ。下痢が落ち着いてきたら、エネルギーとたんぱく質を少しずつ戻していきましょう。
治療中は、食欲が落ちたり、食べにくくなったりしやすいときです。「がんばって食べなきゃ」と思いすぎなくて大丈夫ですよ。
体の状態を整えるために、エネルギーやたんぱく質が不足しないことは大切です。一度にたくさん食べるのが難しいときは、1回量を少なくして、間食も活用してみてください。
また、下痢の症状が強い間は、消化のよさを優先します。下痢が落ち着いてきたら、様子を見ながら、次のような工夫を足してみましょう。
- お粥に卵や豆腐を加えて、たんぱく質をプラスする
- 脂の少ない鶏ささみや白身魚を、やわらかく調理して取り入れる
- スープやみそ汁に、やわらかく煮た具を加える
- 食事だけでは難しいときは、栄養補助食品を使う方法もあります。選び方は、主治医や管理栄養士に相談してみましょう
体重の減少が続くときは、早めに主治医や管理栄養士に伝えてくださいね。
参考:がん治療中の栄養摂取の目安
ESPEN(欧州臨床栄養代謝学会)のガイドラインでは、がん患者さんのエネルギー・たんぱく質摂取量について、次のような目安が示されています。
- エネルギー:体重1kgあたり25〜30kcal/日
- たんぱく質:体重1kgあたり1g/日を超える量、可能であれば1.5g/日まで
ただし、これは一人ひとりの必要量を決めるための計算式ではありません。
年齢、活動量、治療の内容、体重の変化、ほかの病気の有無などによって、必要な量は変わります。
体重の減少が続いている場合や、ほかの病気がある場合などは、主治医や管理栄養士に相談しましょう。
下痢のときにも取り入れやすいレシピ5品
管理栄養士が、やわらかく、作りやすい料理を中心に選びました。食べられる量や症状に合わせて、無理のない範囲で取り入れてください。下痢が続いているときは、食事内容も主治医や管理栄養士に相談してくださいね。
【下痢があるとき】比較的食べやすい、やわらかな料理
【少し食べられるようになってきたら】食べられる量が戻ってきたころに
おいしい健康アプリの活用法
治療中は、メニューを考えるだけでも大変ですよね。おいしい健康アプリを、次の3つの方法で使ってみてください。
①プロフィール設定で、自分に合うレシピを優先表示
乳がんや治療の状況(抗がん剤治療中など)、お悩みを登録すると、状態に合ったレシピが優先して表示されます。
②お悩みからレシピを探す
「お悩み検索(お悩みで絞り込む)」で、今の体調に近い条件を選べます。
例:「お腹がゆるい」「味覚が変わった」「口内炎」といった条件をいくつか組み合わせて、探してみましょう。
③個別栄養相談で、管理栄養士に直接相談
「下痢が続いて、何を食べたらいいかわからない」といった日々の食事のお悩みを、管理栄養士に相談できます。この記事も、そうしたご相談から生まれました。
まとめ
- 下痢が続くときは、水分と電解質を補い、治療を受けている医療機関にも早めに伝える
- 食べられる物を、消化のよさを意識して、少しずつ
- 落ち着いてきたら、エネルギーとたんぱく質を少しずつ戻していく
- 体重の減少が続くときは、医師や管理栄養士に相談する
食事は、がんばりすぎなくて大丈夫です。食べられる物を、食べられるときに、ひと口ずつ。できそうなことから始めてみてくださいね。
※治療中の食事は、病状や治療の内容によって異なります。気になることは、必ず主治医や管理栄養士にご相談ください。
参考
・国立がん研究センター がん情報サービス「下痢」
・国立がん研究センター がん情報サービス「がんと食事」
・Muscaritoli M, Arends J, Bachmann P, et al. ESPEN practical guideline: Clinical Nutrition in cancer. Clinical Nutrition. 2021;40(5):2898-2913. doi:10.1016/j.clnu.2021.02.005
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