夏の貧血対策に朝の「クイックスープ」

「週刊おいしい健康」は、健康維持や病気治療のための食事・栄養管理を「手軽に楽しく」行っていただくため、料理研究家の方々とおいしい健康管理栄養士がレシピを開発しています。
今回のテーマは「夏の貧血対策」

貧血は女性に多い悩みの一つ。月経、過度なダイエットによる鉄の摂取不足、妊娠による鉄の必要量の増加などが原因としては考えられ、日本人女性の4人に1人（※1）が貧血と言われています。

◎貧血は夏場に起こりやすい？

気温が高くなると、だるさや立ちくらみなどの不調を感じ、「夏バテかな？」と思う方も少なくありません。

しかし、もしかするとその症状は、「貧血」が原因かもしれません。暑い夏は汗をたくさんかくことで汗と一緒に鉄分も流れ出てしまいます。さらに暑さから食欲が落ちて十分な食事がとれず、鉄が不足して貧血を起こしやすくなります。

◎夏の貧血を防ぐための３つのコツ

貧血の予防と改善のためには鉄を積極的にとることが大切。とはいえ、鉄を一生懸命とっても体にきちんと吸収されないと意味がありません。
ではここで、鉄を賢くとる３つのコツを抑えておきましょう。

１、鉄の吸収率を高める「たんぱく質」「ビタミンC」を一緒にとる

たんぱく質→肉類、魚類、卵、大豆製品、乳製品に含まれます。
ビタミンC→ブロッコリー、小松菜、トマトなどの野菜類、果物類に含まれます。

２、赤血球を作りだす「葉酸」「ビタミンB12」を一緒に摂る

どちらも血液の成分である赤血球の生成に欠かせない栄養素です。
葉酸→ブロッコリー、小松菜、ほうれん草、豆苗などに含まれます。
ビタミンB12→あさり水煮、さば水煮、かつお、卵などに含まれます。

３、朝ご飯をしっかり食べる

朝に良質なたんぱく質をとることで鉄の吸収を促す働きが期待できます。

◎忙しい朝には鉄分もたんぱく質も補えるクイックスープで解決！

栄養バランスがいい食事をとりたいけれど、「朝は忙しくて時間がない。。」という方も少なくないはず。
そんな方へ、今回は料理研究家　井原裕子さんに鉄を摂取できる簡単朝ご飯を教えていただきました！

忙しい朝はとにかく簡単に時短で作りたいですよね。
井原裕子さんが教えてくれたのは忙しい朝でも簡単に作れる「クイックスープ」
鉄はもちろん、たんぱく質やビタミン類も一皿でとれるスープばかりです。

なまり節とブロッコリーの春雨スープ

井原裕子さんイチオシのなまり節を使ったスープ。
なまり節は、生のかつおをさばいたあと、蒸す、ゆでるなどの加熱処理された加工食品です。スーパーでも購入できます。100ｇあたりなんと５mgもの鉄が含まれており、貧血気味の方にはおすすめの食材。なまり節のうま味と梅干しの酸味であっさり食べやすいスープです。

小松菜とさばみそ缶のしょうがスープ

さばには鉄とたんぱく質、ビタミンB12が、小松菜には、鉄、ビタミンC、葉酸が多く含まれています。一杯に栄養素がぎゅっと詰まっているうえ、５分ほどで作れるお手軽なスープです。

マンハッタンクラムチャウダー

貧血でお悩みの方はぜひ、あさりの水煮缶を活用ください。あさり水煮にはレバーや赤身肉よりも多くの鉄が含まれます。缶詰なので調理の手間もなく、手軽に使えるのもうれしいポイント。ビタミンC、葉酸を多く含むブロッコリーがごろごろと入って食べ応えのあるスープです。

小松菜と卵の豆乳スープ

豆乳のまろやかな味わいにしょうがの風味が効いたやさしいスープです。豆乳や卵に含まれる鉄は、「非ヘム鉄」と言われ、肉や魚に含まれる鉄に比べると吸収率が低くなりますが、ビタミンCを多く含む小松菜やトマトを一緒にとることでその吸収率が高まります。

◎時間に余裕のある朝に楽しみたいブランチメニュー

大豆とズッキーニのキーマカレー

合いびき肉と蒸し大豆からは鉄とたんぱく質、そしてたっぷりの野菜からはビタミンCがとれるキーマカレー。大豆はそのまま使える蒸し大豆を使って調理の手間をカット。ご飯やパンに合わせたり、レタスなどに包んで食べるのもおすすめ。

なまり節とブロッコリーのチーズパスタ

たんぱく質、鉄、ビタミンB12を多く含むなまり節。ビタミンC、葉酸を多く含むブロッコリーと合わせた最強コンビのパスタです。ブロッコリーはパスタがゆであがる５分前に一緒に入れてゆでれば、時短になります。粉チーズをたっぷりと使った味わい深い一皿です。

豆腐のチーズステーキワンプレートモーニング

カリカリに焼いたチーズに豆腐をはさんで焼いた、豆腐のチーズステーキ。豆腐に含まれる非ヘム鉄は吸収されにくいですが、小松菜やにんじん、サラダ菜、ミニトマトに含まれるビタミンCが吸収を高めてくれます。サラダ菜はレタスの中でも鉄を多く含みます。普段の食事にサラダをプラスする際は、積極的に選んでみてください。

クイックスープに、時間に余裕がある時のブランチメニューはいかがでしたか？ 忙しい朝でも５分〜10分ほどでできるものばかりなので、ぜひ夏の貧血対策に作ってみてくださいね。

プロフィール
井原裕子さん
料理研究家。イギリス、 アメリカで暮らした経験から、幅広いジャンルの料理に精通 。季節感を大切にしたつくりやすいレシピが人気。旅先でおいしい野菜や食材を探すのが好き。

◎合わせて読みたい
毎日つづく不安やプチうつ、原因は鉄不足かも？ ～隠れ貧血と鉄欠乏性貧血～

※１　働く女性の心と体の応援サイト「日本の女性は鉄分不足！その不調、貧血かも？」参照